MONDAY, AUGUST 24
漁火
上県町(かみあがたまち)女連(うなつら)の市山家に昨夜移動。わざわざ市山氏に比田勝まで迎えに来て頂いた。移動が夕刻であったため、途中の港を高台から見学。見えたのは空と海の境が暗黒の闇のせいで全く区別のつかない線を点々と灯すイカ釣り船の「漁火(いさりび)」。
漁火という専門用語。もともとは魚やイカなどを夜に誘い出すために船の上で焚いた火のことである。この言葉は万葉集にも出てきており、「ほのかな」という意味で使われている。また適切な英訳や中国語などがない事から、これは日本特有の漁法そして風景・風情であると思われる。
この日は曇りで天気があまり良くなかったせいか、その漁船の数もいつもより少なかったそうだ。普段はもっと明るいらしい。かえって私は本当の「ほのかな」漁火を体験したのかもしれない。
女連の立岩
朝、市山ご婦人が港の隣にある面白い地形を見せに連れていって下さった。私が実は地質学者だと知り、喜ばせてくれようとの気配りだった。
その場所は期待以上の景観だった。堆積層が地殻変動の隆起によって湾曲になったりしている。また波風による浸食で岩肌が奇妙に風化している。地中海でよく見かける、あの岩だ。タフォニ(tafoni)と呼ばれる岩のテクスチャーである。海の色が地中海、と思っていた矢先にこんな、またもや地中海を思わせる地形が存在するなんて・・・。なんて面白い島なのだ!