対馬体験ツアー:定置網に行く ~Part 3

船上は戦場

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この台に魚が揚げられ、手早く締められる。

船上は魚の血で真っ赤に染まっていく。その現場は正に漁師と魚の戦いの場である。生き物を食料として獲っていくためにはそれ相当の努力と技術、そして知恵が必要とされる。何しろ相手を「倒す」ことが出来なければ食うことが出来ず、肉食動物の場合だったら死に至ってしまう。幸い我々ヒトは雑食動物なのでそんなことも無いが・・・。

しかし現代人の我々はそのようなことを、動物と戦うことせずその生き物を簡単に食することが出来る。スーパーに行くと既に死んで、誰かによって処理されパッケージされた魚がある。消費者はそれをお金で買うだけで食べることが出来る。買う魚が海で獲れ、パッケージとして店に出る。そのことを知っていても、そうなる間の過程の事はよく知らない人が殆どだろう。また知りたいと思う人も多くはないと思う

*ビデオは生き物を締めて(殺して)いるシーンのため、短めに撮りました。バックにエンジンの音が魚のピチピチという音と一緒になっています。

多くの生物は自分で栄養・エネルギーを作れない。生命を保っていくためには他から栄養をとっていかなくてはならないのである飽食の時代といわれているが、本来「食べる」ということは決して娯楽ではない、人間にとって不可欠なプロセスである。栄養を取らないと餓死する。あまりにも単純なことだ。だがひもじい思いをしたことの無い私には想像が困難である。全くのん気なものだ、と自分でも呆れてしまう。

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締めた魚は青い水槽の氷と海水を混ぜた冷水にいれ、新鮮さを保つ。

しかしそのように考えだすと自分の食卓に並ぶ料理の素材が何処から収穫・収獲され、どういった過程を経てきたのかが気になってくる。ついでに科学者であるため、その生物の生態、棲む環境、何を捕食しているのかにも興味が行ってしまう。一体今食べている魚はどういった生物なのか・・・。

それに答えられるのはこのトレーサビリティ・システムかもしれない。魚についてでは、獲れた場所(漁場)、魚種、ついでに獲れた日や水揚げされた日、そういった基礎情報さえあれば大概その魚のことを詳しく調べることが出来る。これは一般消費者にとって情報入手のツールとなるだけでなく、水資源を管理すべき機関にとっても便利で、また魚や海洋環境の専門家にも役に立つものであると思える。

現場の情報管理をするのがトレーサビリティ。正に戦場とレポーターの関係に思えてしまう。

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